シブスクから考える
サステナブルとは?
渋谷スクランブルスクエアが実施している
サステナブルな未来のためのさまざまな取り組み――。
その中で、日々、社員が大切にしている “想い”とは?
職域の異なる5人が集まり、
仕事を通じて感じていることや
一人ひとりの“これから”について語り合いました。
営業二部
プロモーションDiv.
シニアチーフ
小野 友章
営業一部
オフィスDiv.
シニアチーフ
栄藤 陽子
営業一部
渋谷キューズDiv.
チーフ
山口 臨太郎
渋谷スクランブルスクエアのお客さまは
特にSDGsや社会への関心が高い
――普段、お客さまやテナント、協力会社の方々と接している中で、自然環境や社会のサステナビリティについての意識の高さや変化を感じることはありますか?
栄藤 オフィスでの定例会で話を聞いていると、意識の高いテナントさんの多さをすごく感じます。まだ実現はしていませんが、一緒にSDGsに関する施策をやりませんか?とご提案いただいたり、すでに独自でイベントを開催されていたり……少し前の消極的なスタンスとは違う、意識の変化を実感していますね。
小野 お客さまにも、ブランドの成り立ちやその商品がどんな経緯で生まれたものなのかということにすごく高い関心を持って購入されている方が非常に多いなと。またBRING(古着回収リサイクル)に挑戦した時にも、こちらが回収ボックスを置き、「次の商品につながります」ということを提示するだけで、たくさんの方が参加してくださる。周りの商業施設と比べても断然多かったと聞いたので、スクランブルスクエアのお客さまは特に関心が高いのかなと。そういった背景があるため、スクランブルスクエアに新規オープンしていただくショップを探すときにも、商品やブランドのバックボーンがしっかりしているお店が候補に上がることが多いです。
施設としての堅実な取り組みがあるから
プロモーションが羽ばたける
――各部署でこれまでに行ってきた取り組みについて、もう少し教えてください。
渡辺 私は営業部門ではなく管理部で施設全体の管理を統括する立場なので、SDGsへの取り組みについてもお客さまから直接見える部分ではないのですが……一つの事例として、建物全体の廃棄物の利用率の悪さの改善に取り組んだりしています。テナントの方々にもご協力いただいて、ゴミステーションに捨てられたゴミを分析し、再利用に向けたアイデアを提案したり、協力会社や各用途の方にご協力いただきながらビルの中で連携できるよう動いています。
津田 管理部では、東京都のほうから節電の呼びかけがあり、施設全体としての省エネのための取り組みも実施しました。スクランブルスクエアでは夜間に蓄熱槽にエネルギーを貯め、電力を一番使う日中のエネルギーはそこからまかなうようにしています。加えて、オフィスでも商業でも、照明の明るさを落としてもらったり。このビルは渋谷駅に直結しているので、お客さまにご迷惑がかからない範囲で、安全に運用することを第一に考えながら、省エネ対策を考えましたね。その結果、2カ月で約8%のエネルギーを削減することに成功しました。
――8%ってすごいですよね。実際に施策を実行する側としては、どうでしたか?
栄藤 省エネに向けて、部門を越えてノウハウを持ち寄った検討ができたので、スムーズに動けたと思います。テナントの方々への定例会で節電のことを伝えたときも、皆さんの理解がとても早くて。きっと実行するときよりも、施策を決めるまでが大変でしたよね?
津田 そうですね。東京都からの要請を受けてから実質2日間ほどでプランを決めました。スピード感を持って動けるところはこの会社の良さですし、節電に関してはテナントだけでなく、ビルの防災センターとも協力したので、スクランブルスクエア全体で知恵を出し合って取り組んだ結果のマイナス約8%だと思います。この期間だけの取り組みに終わらせず、ここで得た知見をこれから先にも生かしていけたらいいなと思っています。
――プロモーションにおける取組みについてはいかがですか?
小野 プロモーションとしてSDGsやサステナビリティを取り上げると、どうしても説教めいた取り組みになりがちで難しいなと思っていて。でも2021年の2周年アニバーサリーフェアを「LOVE is SUSTAINABLE.(ラブ イズ サステナブル)」というテーマで展開した際、自分が好きなものをまずは見つけることや一つのものを長く使い続けることもサステナブルに繋がるというメッセージが伝えられたんじゃないかなと思うんです。スクランブルスクエアには長く大事に使えるアイテムを扱っているお店が多いので、その部分をしっかり訴求するだけでも自然とSDGsにつながっていくのかなと。また、クリスマスフェアに、さまざまな職種、年齢、性別の方々をモデルに起用したプロモーションを行なったんですが、多様性の実現をそういったプロモーションに込めて発信していくこともできると思うんです。実はそういうメッセージがあったんだと、お客さまへの気づきに繋がったりする。そういうプロモーションを今後も作っていけるといいなと思っています。
――新しい価値観を生み、率先しているなということは、一つひとつのプロモーション施策でも感じます。例えば、夏のセールを「SCRAMBLE PARTY(スクランブル パーティ)」として打ち出したりすることもそうですし。
小野 “セール”と言われるとどうしても安売り感があるけど、お得に買い物することを“楽しんでもらう場所”にしたくて。お客さまが求めているものをしっかり汲み取りながら、こちらのメッセージを届けて、提案していけるといいなと思いますね。
――企業としての社会的役割をしっかり果たしながら、プロモーション活動を通して世の中の人たちに新しい価値観を提示し、想いを届ける……同じ目標に向けた取り組みでも部署によってアプローチが異なるのが面白いですね。
小野 こうしたプロモーションは、渡辺さんが話してくれたような、施設としての堅実な取り組みをコツコツ進めてくださる部署の方々がいるからこそできる発信かなと思っています。
ピンチにアイデアで乗り越えて
働くワーカー同士の繋がりも大事に
――さまざまな施策の中で、皆さんが印象に残っている出来事はどんなことですか?
小野 僕は渋谷区の小学生をSHIBUYA
SKY(展望施設)に無料招待した企画が印象的です。コロナ禍の影響で学校行事が縮小・中止になっている現状もあり、なにか思い出作りに協力できないかと考えた企画で、さらに子どもたちが成人を迎えたときにまたSKYに集まれるように、特別なチケットをプレゼントしました。街の発展にもつながると思うし、単純に渋谷が好きだと思ってもらえるきっかけにもなるんじゃないかなって。小学生たちが楽しそうに屋上を走り回っている姿を見るだけで、ちょっと胸が熱くなりましたね。成人式でまた集まってくれたら嬉しいな。
――本当に素敵な企画ですよね。QWSでの取り組みも、人と渋谷、人と人を繋ぐ架け橋になっているのでは?
山口 QWSとしては、イノベーションだけが目的ではなくて、起点となる“問い”や課題解決のための取り組みも大事にしています。そのためにさまざまな活動やアプローチの仕方があって、それをQWSの中で支援できているのではないかなと。その一つが、『SHIBUYA
サーキュラー広告
プロジェクト』という活動です。広告に使われた素材を捨てることなく、新しく社会の資源として復活できないかということに挑戦しているプロジェクトなんですが、SKYの広告をその資源として提供したという流れがあり、素早く形にできました。そのスピード感のある連携もスクランブルスクエアならではなのかなと思います。
小野 SKYで使っていた素材をバッグとか商材に変えてプレゼントしたりもしていましたよね。そのバッグ自体も結構かわいくて。
山口 そうなんですよね。
小野 そこって大事なところな気がするんですね。どんなに環境に配慮していても、実際に手に取ってもらえないのであれば意味がないですから。
――オフィスの中の取り組みで印象的なことはなんですか?
栄藤 コロナ禍の感染拡大防止の観点から、オフィスフロアでもトイレに設置されているハンドドライヤーを使用中止せざるを得なくなってしまったんです。オフィステナントの方々からは「止めないでほしい」「代わりにペーパータオルを設置してほしい」など、さまざまなご意見・ご要望をたくさんいただいたのですが、代替品を使用することで紙の廃棄量が増えてしまう。どうしたものかと考えて
……スクランブルスクエアのオリジナルハンカチタオルを作って、ご協力のお願いと共にオフィスに入居する社員の一人ひとりに配ることにしたんです。普段接することが少ない部署の社員さんにも「あのハンカチタオル使ってます」と言ってもらったりして、嬉しかったですね。私たちもただの窓口になるだけじゃなくて、ワーカーの皆さんにメッセージ伝えていきたいなと改めて思いました。
――ワーカーの方々のための取り組みという意味では、オフィスのエントランスロビーに設置されている『ボタニカルライト』もSDGsをテーマにしているものなんですよね。
栄藤 そうなんです。17階オフィスロビーの植栽を検討した際にテーマの中にSDGsを取り入れていただくようお願いしまして、夏の植栽は、廃材から作ったオブジェや、”植物発電”を使った装飾となりました。目新しかったのか、オフィスワーカーさんも興味を持たれたようで、お会いした際に、楽しい会話に繋がりました。
「自分の一番好きな場所です」と
言ってくださる人を増やして
一緒に社会のために取り組みたい
――今後、渋谷スクランブルスクエアだからこそ実現したいこと、挑戦したいアイデアがあれば教えてください。
渡辺
これは個人的に考えていることなんですけど……備蓄倉庫に保管してある食料品の再利用についての取り組み。期限が過ぎてしまった大量の食料品をそのまま捨ててしまうのではなく、リサイクルにつなげられないかなと思っているんです。ただ捨てるだけでも廃棄物処分費がかかってしまいますしね。実際に防災備蓄品を無駄にしないための取り組みを行う団体の方もいらっしゃるみたいなので、施設としての具体的な施策につなげられないか検討していきたいなと思っています。
山口
QWSでサステナブルやSDGsにフォーカスを当てて活動はしているものの、社会に根付いて実装されているのか、しっかりとアイデアが羽ばたけていけてるのかな?と思うことがよくあって。まずは実験の場としてスクランブルスクエアを利用していただいて、検証を重ねた結果をちゃんと世の中に還元していく――その作業の足掛かりになりたいなと思っています。
栄藤
QWSメンバーシップの法人会員の中には、オフィスのテナントさんもいらっしゃるので、そこで何かいいコラボができたらなって思っているんですよね。具体的にどう利用したらいいのかわからない場合もあると思うので、「こういうこともできますよ」とこちらから投げかけるのがいいのかなと。まずはこの場を借りて、山口さんに申し込んでおきたいです(笑)。
山口 ぜひよろしくお願いします(笑)。
栄藤 SKYやショップ&レストランではたくさんのイベントがあるので、さまざまな場面でオフィスの方にも利用していただけたらなと思います。SKYで実施されている“展望ヨガ”(=ROOFTOP
YOGA &
MEDITATION)を福利厚生のようにテナントの方々にも使ってもらったり。普通のオフィスビルにはない施設がスクランブルスクエアにはあるので、ここにいるから、ここで働いているオフィスワーカーだからこそのメリットを感じてもらえたらいいなと思っています。
小野 オフィスの方も、スクランブルスクエアを利用いただいてるお客さまも、渋谷を“ホーム”だと思っている人がどれぐらいいるのかなって、悩ましく思う部分もあって。そう思ってくださる人をもっと増やすことが課題というか、重要なことなんじゃないかなと思うんですよね。そうすれば、施設としてもっとさまざまな取り組みを自然体で実施できるようになるし、社会に浸透していくんじゃないかなと。
栄藤 そうですね。取引先の方にオフィスツアーのようなことを実施していたり、SKYを会議で使用したり……ワーカーさんの中には特別なビルだと思ってくださっている方が多いのかなとは日々感じています。
小野 お客さまにも、働いている人にもこれだけ多くの商業施設がある中で、自信を持って渋谷スクランブルスクエアを「自分の一番好きな場所です」と言ってくださる人を増やして、一緒に社会のための取り組みを行なっていけたらいいですよね。
あなたにとってのSDGsとは
商業施設のプロモーションは、どうしても“やってるぞ!”感が出てしまいがち。難しいことではなく、自分にとっての心地良さを追求した結果が環境や社会に配慮された行動になっていたりすることが一番いいのかなって。そういう自然体な企画、プロモーションを目指すべきだし、スクランブルスクエアはそれを実施していける場所だと思っています。
環境のための施策は実現が厳しいこともありますが、スピード感を意識して対応しています。行政との早急な連携が必要な場面もあるので、社内で具体策を決めて、全社に発信していくためには自分が素早く動かないと進められない。施策実現のために協力し合い、しっかり結果に繋げていく。そのスピード感を大事に、これからも仕事していきたいです。
施設管理で一番大事なことは、訪れる人に快適な環境を提供すること。エネルギー削減やCO2削減など、環境に配慮してやっていく反面、快適な環境を犠牲にしてはいけないと思っています。両立は非常に難しいですが、そのどちらも蔑ろにしない、新しい取り組みをしっかり考えていきたいです。
スクランブルスクエアの中には、オフィスのほかにも商業店舗やQWSや展望施設があり、多様なワーカーさんが働いています。そういった皆さんと交流を持って、自分の今のオフィスの仕事に取り入れていきたいですし、ここでしかできないアイデアや共創が生まれたら嬉しいなと。探求心を持って働き、ここで働くワーカーさんたちの懸け橋になりたいと思います!
渋谷はいろいろな人が集まっている街。地形的にも谷で、さまざまなものが集積していく場所です。さらに渋谷スクランブルスクエアは渋谷の中心、ど真ん中。渋谷の中心に集まったものを、スクランブルスクエアの中で連携し、電波塔のように新しい形として社会に発信・提案していく役割を担いたいです。それをリードできるといいなという期待を意気込みも込めて!